かつてはキレるのは10代の若者でしたが、最近キレるのは高齢者といわれることがほとんどです。
中にはキレた方が暴力を振るい、事件になることもあります。
今回はキレる高齢者の方のお話とは少し異なり、認知症になると攻撃的になってしまう人の場合です。
そんな時はどのように対応したら良いのかお話します。
認知症で攻撃的になってしまったらどう対応したらいいのか?
認知症で、なぜ攻撃的になるのか
認知症になると、攻撃的になる人がいる。
よくいわれていますが、同じ「認知症」でも暴言や暴力が増え攻撃的になる方と、そうでない方がいらっしゃいます。
この原因には、感情のコントロールの仕組みと、認知症による衰えが関係しています。
感情は私たち誰にでもあるものです。
もちろん個人差があり、常に気分の良さそうな人、怒りっぽい人、穏やかな人がいたりしますね。
この誰にでもある感情をコントロールしているのが、脳の前の部分「前頭葉(ぜんとうよう)」です。
前頭葉は感情を抑えつけたり、解放したりするブレーキのような役割があります。
認知症は、脳の働きが衰えることが原因です。
認知症により、前頭葉の働きが衰えて感情をコントロールするブレーキが効きにくくなると、まわりの人や出来事に攻撃的になることもあります。
元々の性格も影響
とはいっても、認知症で同じように前頭葉の働きが衰えた方みなさんが、攻撃的になるとは限りません。
それは、元々の感情の起伏の大きさが影響しているからです。
例えばこんなケースです。
誰にでも穏やに接するAさんとBさん。
お2人の内Aさんは、幼い頃は活発でよく他の子と喧嘩をするほど攻撃的な場面もありました。
しかし、大人になり、社会的な経験を積み重ねて徐々に穏やかになり、認知症になる前は穏やかな人柄で家族や地域の人と触れ合っていました。
また、同じように穏やかなBさん。
Bさんは幼い頃から物静かで、穏やかな性格でした。
会社に勤めてからも、柔らかな物腰で周りの方に優しく接していた方です。
・Aさんの場合、元々活発で起伏が激しかった感情をブレーキで上手にコントロールしていた方。
・Bさんは、元々穏やかでブレーキをさほど使わなくても問題のなかった方。
同じように見えても、その方の生き方を辿ると、元々の性格によって違いがあります。
お2人が認知症になり、医師の診断で前頭葉の働きが衰えていると判断されました。
Aさんは、それまで接していた家族や地域の人に暴言を言うなど攻撃的になる可能性があります。
Bさんの場合も、もちろん攻撃的な性格になってしまうこともありますが、Aさんに比べて確率は低いでしょう。
家族が認知症で攻撃的になったときの対応
もし家族の誰かが認知症で攻撃的になってしまったら・・・。
どのように対応するかは、その態度と内容によります。
実際に暴力や暴言を止められないなど、一緒に暮らす家族に危害が起こりそうな場合には、迷わず医師に相談しましょう。
すぐに入院とはならず、気分を落ち着かせる薬の服用などで生活を送れることもあります。
知り合いの方が認知症で攻撃的になってしまったら
地域の方や友人など、長いお付き合いのある方が人が変わってしまったように攻撃的になってしまったら…
高齢者の方の場合は、認知症の可能性もあります。
もし、ご家族に連絡を取ることができるなら、お伝えしてあげることが認知症の方にとっての優しさでもあります。
まとめ
認知症によって、脳の働きが衰えることで暴言やときには暴力になるほど攻撃的になってしまう方も珍しくはありません。
私たちの感情は、脳の前の部分、前頭葉がブレーキとなってコントロールしています。
認知症で前頭葉の働きが衰えてしまうと、ブレーキの効きが弱くなり、感情を抑えられなくなるといわれています。
これは、奥さんや兄弟など認知症の方を昔から知っている方でなければ、普段接している人でもわからないこともあります。
普段接していた地域の人には、「穏やかな優しい人」ていう印象の方でも、奥さんや兄弟には若い頃は「感情の起伏が激しい情熱的な人」という印象だったかもしれません。
もし、地域の方や友人が人が変わったように攻撃的になられた場合には、事件や事故につながる前にご家族に知らせてあげることが大切です。