高齢や病気によって介護が必要になる方は、これからはますます増えることでしょう。
使える介護支援サービスを全て使っても、自宅での生活を送れないとき、施設の入居が必要になるでしょう。
今回は、施設側に受け入れを拒否されてしまうことがある利用者さんについてお話しさせていただきます。
特養で受け入れが拒否される場合
特養は、介護保険で提供され、介護が必要な方が施設で暮らしながら介護サービスを利用する、施設型サービスの1つです。
施設型サービスの中には介護福祉施設と介護老人保健施設があります。
介護福祉施設のことを特養と呼び、老健と呼ばれる介護老人保健施設と区別しています。
介護福祉施設と介護老人保健施設の違いについては、次の項目でお伝えしますね。
特養と呼ばれる介護福祉施設では、介護の必要性を判断する5段階の介護認定の中で、要介護3から5という介護の必要性が高い方を受け入れています。
要介護3というと、介護の必要性は低いように思えますが、24時間365日の暮らしの中で、夜中も含めて介護が必要な方です。
また、要介護5の方の中には寝たきりの方が多く、生活の全てで介護が必要です。
特養では、要介護3より介護度が低い方でも、認知症が進んで自宅では暮らせない方が入居することも増えてきました。
自宅では、常に誰か家族が家にいなければ、危険な行為や外へ出歩いて帰ってこれなくなることもあった認知症の方でも、特養で暮らすことができます。
ですが、中には特養の受け入れを拒否されてしまうこともあります。
大きく分けて、病気の問題とご本人の問題があります。
病気の問題では、糖尿病やリウマチの悪化など、「今まさに治療が必要」な病気の方は病院への入院を勧められます。
もう1つのご本人の問題では、職員や他の利用者さんへの暴力の問題です。
介護福祉の場面で利用者さんの暴力やセクハラが問題視されたのは、つい最近のように思えます。
暴力やセクハラがあっても、「認知症のため」「暴力やセクハラをさせないように関わるのが上手な関わり」など、長らく放置されていました。
その結果、介護の担い手が不足し海外からの労働力に頼らざるを得なくなりました。
最近では、よく知られたことですが認知症の方が全て暴力を振るったり、セクハラをするわけではありません。
機能が衰えてしまう脳の場所にもよりますし、認知症になる前から粗暴だった方もいます。
認知症になる前は、おしとやかであった方でも、実は幼い頃はヤンチャな方で認知症が進行するたびに粗暴になることもあります。
職員や物品への暴力は、特養の配慮でなんとかなることもあります(職員や管理者が負担を強いられていてあまり良い対応とはいえませんが)。
ですが、他の利用者さんへ暴力やセクハラの被害が及ぶと、それは刑事責任の有無を巡り裁判沙汰となることもあり得ます。
さらに、介護事業所側からは入居されている方が暴力事件を起こしたからといって即退所してもらう対応を取ることは難しいからでもあります。
そのため、今までで暴力やセクハラを繰り返していた方はお断りされることもあり得ることです。
特養と老健、そっくりだけど大きな違い
介護保険制度の施設型サービスの中には、介護福祉施設と介護老人保健施設があり、介護福施設を今回のお話に上がった特養、介護老人保健施設を老健と呼ぶことがあります。
どちらも、介護や医療の略語ではありますが、そっくりなので老健にも触れておきます。
介護老人保健施設は、家庭で暮らすために介護保健サービスの環境を整え、ご自身の体力や生活動作を身につける場所とされています。
そのため、最終的には自宅や介護サービス付き高齢者住宅へ住む方を対象にしています。
特養が、入居して介護を受ける方が利用する施設であるのに対して、老健は自宅へ退院する方のための施設と考えていただくといいですよ。
まとめ
最近話題に上がる、介護福祉現場での暴力やセクハラ。
職員や物に対する暴力やセクハラは、あまりいい対応ではありませんが施設側が配慮してくれることもあります。
ですが、他の利用者さんへの暴力やセクハラは、事件となってしまうため受け入れを拒否されることも珍しくはありません。
それは、認知症の方を手厚く対応できる特養でも、ときには受け入れ拒否されてしまうことでもあります。