飛行機が手軽に利用できるようになり、海外旅行へ行く方が増えている日本。
仕事を引退され、孫も成長したご夫婦の老後の楽しみとして海外旅行に行かれる高齢者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、高齢者の方が医療体制が整っていない医療後進国を旅行する際に注意が必要な点について話をさせていただきますね。
高齢者にとって日本で当たり前の持病が現地では治療困難
日本で当たり前の持病も現地では難病扱い
例えば、日本国内では狭心症や不整脈などの心臓の病気を抱えながら、薬を飲むことで安心した暮らしを送ることができ、万が一心筋梗塞や重大な不整脈になることがあっても、かかりつけの医療機関に搬送され、適切な治療を受けることもできます。
国内旅行で万が一、体調の変化があっても、持参している薬や記録から適切な治療を受けられることが多くあります。
しかし、医療後進国では、例えば心臓の病気は外科手術以外では治せる方法はないと判断されたり、国内では治療可能な病気であっても専門の医師がおらず判断できないとされてしまうこともあります。
言い換えるなら、日本ではどの病院でも手術をせず薬で治せる病気であっても、現地の病院では手術をするしか治す方法がない、こう判断されてしまうことがあります。
年齢が治療の妨げになることも
また、平均寿命の短い地域では、80代の方はほとんど暮らしていない地域もあり、手術が対応できないこともあります。
日本の平均寿命はおおよそ83歳、東南アジアではシンガポールは約82歳と日本と変わりませんが、タイとマレーシアは約75歳、インドネシアとフィリピンは約69歳、ミャンマーやラオスでは約65歳と大幅に下がります。
平均寿命の低い国では、大都市の病院や有名な大学病院を除いて年齢の高い患者さんの対応ができない地域もあることでしょう。
日本国内でも、かつては最新の設備と専門の医師がいる病院以外は「もう歳ですから無理な治療はできません」と高齢であることが治療の妨げになっていた時期もありました。
高齢者が少ない国では、今まさに当時の日本のような状況になっています。
そもそも医療後進国とは?
経済の発展では、先進国と発展途上国に分けられます。
医療の分野では医療先進国と医療後進国と言われることもあります。
明らかな線引きはありませんが、1つだけ言えることは医療先進国の国民から見て自分の国以上の医療を受けられない国は全て医療後進国と言えるでしょう。
高齢者との海外旅行の注意点は現地の医療体制
日本の医療は最先端
日本の医療は薬の認可や感染症予防などの一部を除いては、世界でもトップクラスといわれています。
日本国内では90歳を過ぎてからであっても、骨折やガンなどの手術も行えるほど、高齢者医療は充実しています。
日本の医療体制は、最先端とは言いますが、全ての分野でまだ世界一とはいわれていません。
医療の発展には、いくつかの段階があり、大まかに区分けすると、感染症予防と安全な外科治療がまず確実になり、急病による死亡者数を減らすことが第一段階です。
次に、子どもを出産し、小さなお子さんを安全に育てることができる産婦人科や小児科医療を発展させ出生率を上げ新生児の死亡率を減らします。
急病による死亡者が減り、出生率が増えると次は人の寿命を短くする原因になる病気を解決することです。
具体的には、ガンの対策ですね。
その後は、生活習慣病を改善することと、病気を予防する予防医療、高齢者の方が安全に人生を送れる高齢者医療と段階を応じて発展します。
人気の旅行先、東南アジア地域の医療事情
極端な例えですが、世界の中の医療の発展には差があります。
その理由は、政治的、地理的な事情もあることでしょう。
例えば、危険な感染症が収まらず直接命を脅かす地域では、生活習慣病の改善よりも、感染症を予防することが大切です。
日本人に人気の旅行先でもある、東南アジアの中には医療の発展が十分ではない国もあるため注意が必要です。
その中で、1つだけ医療の発展が著しい国があります。
それは、インドネシア。
世界第4位の人口を要するインドネシアは、国民の6割程度が健康保険に加入しています。
充実した医療への予算から、2014年からの数年間で、日本を含む国からの医療機器の輸入額が増加、政府の支援のある医療機関も増加している医療発展国といっていいでしょう。
まとめ
年末年始に限らず、海外旅行に気軽に行くことができるようになった現代。
中でも時差が少なく、料金も安い東南アジアは海外旅行先として人気です。
仕事も子育ても、孫の面倒も卒業された高齢者の方が海外旅行に行くのも珍しくはないでしょう。
そこで、1つだけ注意点があります。
それは、人気の東南アジアは医療後進国が多いということ。
平均寿命も日本に比べ10歳以上低い地域も珍しくはありません。
持病のある方は、万が一のために、大都市の医療機関の場所とアクセスを把握しておくことが大切ですね。